【書評】「数字」が読めると本当に儲かるんですか?
4月に入り、電車で新卒入社した新社会人と思われる方もたくさん見受けられるようになりました。
もうすぐゴールデンウィーク。
5月病などという言葉がある通り、新社会人にとって初めてとなる大型連休(サービス業やシフト制の場合は異なりますが)
自分は本当にこの会社に入って良かったんだろうか?
あるいは、この仕事って自分に向いているんだろうか?
そんな疑問を持ち始めるのも、はやいと入社1~3か月後くらいのことかなぁと思います。
他の会社を知らず、今いる会社のことしか知らないということは
良くも悪くも比較対象が無いわけです。
辞めてみて初めて「あの会社、こういうところは良かったな」と気付くことも多いはず。
会社や学校といった「組織」はどうしても「個人」より強い存在です。
だからこそ、社員が会社を批判するように、会社から個人へ何かを言うことは社会的にできないでしょう。
また、一体上の人はどんな仕事をしているんだ?と思われがちですが、
社員を守るため、知らないところで少なからず経営陣も日々奮闘しているはずです。
ここで述べたいのは、決して会社の批判をするなということではありません。
会社を改善するためにやるべきことはやったほうが良いですし、
入社して間もない社員や中途で入ってきた社員には
長年同社にいるメンバーには気付けないことに気付けることが多くあります。
ただ、その進言や批判をする前に、決して主観的ではなく
事実に基づいた、あるいは客観的な分析や判断ができたらどうでしょうか?
会社において、立ち位置によって見える状況も数字も異なります。
その中でも、いわゆる土台となるような基礎知識は持った上で話をしたいものです。
たとえば、
うちの利益はどうなっているんだ?売り上げはなぜあがらないのか?
給与と賞与はもっともらえるんじゃないか?
と思った時に、そもそも会社の経営状態や良し悪しが分かった上で話をしないと
まったく要領を得ない話になる可能性があります。
経理部門や営業職は業務で触れることもあるかと思いますが、
職種に関わらず、基礎的な会計知識は誰しも持っていて損ではないと思います。
前置きが長くなりましたが、そこで今回の1冊。
いわゆる決算書類の読み方を詳しく知りたい、の前に
その決算書類の項目、よく聞く「損益分岐点」「限界利益率」などの
重要な項目について分かりやすく説明をしてくれています。
いわば入り口として読むには最適で、ストーリー仕立てで事例もあげられているので
小難しくなく読める1冊となっています。
新社会人の方、これから会計知識を身に着けていきたいという方にお勧めです。
その中で、今回は損益分岐点についてだけ簡単にピックアップしてみます。
*損益分岐点とは?
「 損益分岐点売上高は、利益がゼロになっている状態の売上のこと」で
「損益トントンの状態」です。「最低でもここまでやらないと赤字」というラインです。
詳細は本書を参照してもらうとしますが、
算出に必要になってくる数字のうちのひとつは「固定費」です。
たとえば新しく人を雇ったり、広告を使用したりすれば固定費があがり、
損益分岐点売上高も上がってしまいます。
また、値下げをして売り上げた場合も
同様に損益分岐点は上がります。
営業職をしている方は、自身の売る商材の金額がいくらになっているか。
値引きする場合、それは果たして会社の利益率とマッチしているのか。
そんな視点も持っておけると良いと思います。
厳密に言えば、売上件数を立てたのに利益率を落としたせいで
もっと売らなくてはいけないという悪循環に陥るケースもあります。
余談ですが、会社の売上はすぐにお金として入ってくるわけではありません。
売り上げて納品し、その後、たとえば1~2か月後になって入金がある、というケースが多いと思います。
営業はなるべく早く入金してもらえるように交渉しろと言われたり、
反対に外から何か購入する部門では支払期日をなるべく先にしろと言われたり。
これも、会社のお金のやりくりに関わる重要なことです。
売上がたっているのと手元にお金があるのとは違います。
大分ざっくりまとめましたが、
そういうお金の流れもあわせて把握しておけると良いと思います。
自社の決算書類を見て、会社の経営状態を把握してみるのも面白いかもしれません。
5月に大型連休を迎える社会人の皆さん、
しっかりリフレッシュして、GW明けのお仕事も頑張りましょう笑
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*次回更新は4月26日(金)です*