【書評】父が娘に語る美しく、深く、壮大で、とんでもなくわかりやすい経済の話
こんにちは。ごーいわです。
えらく久しぶりの更新になってしまいました…。
勝手に言い訳をします。
私ごーいわの1番の趣味はNBA観戦なのですが、そのNBAが最も盛り上がるのが4月上旬~6月中旬なのであります。
この時期は仕事以外の時間はNBAに捧げておりまして、読書をほったらかしにしておりました…というわけで今回が久々の更新になった、というのが言い訳の全容であります。
これからまたつらつら読んだ本について書いていこうと思うのでお付き合いいただけたらこれ幸いでございます。
というわけで、今回紹介するのはこの1冊。
「父が娘に語る美しく、深く、壮大で、とんでもなくわかりやすい経済の話」
購入してからNBAのせいで積読になってたので微妙に旬が過ぎた…全くNBAには困ったもんだぜ。
まずこの本は著者が興味深い。発売当初話題に上ったのも著者がゆえにであろうと思われる。
著者のヤニス・バルファキス氏はギリシャの経済学者でありギリシャ財政危機の際の(2015年の方)財務大臣である。
一国の財政危機に直面した経済学者が経済について娘にどのように語るのか…こんな興味深いシチュエーションの本はなかなかないだろう。
最初にざっくりと、この本の全体的な方向性というか雰囲気(属性?)を自分なりの解釈でお伝えしたい。
経済の話とあるがいわゆる学術的な経済学(実学と言うべきか)の要素は少ない。
本書は非常に読みやすく分かりやすい。誰もが経済の予備知識なく、読み進めることができ、更にこれを機に経済や社会をもっと知りたいと思うきっかけになり得るような1冊である。
例えるのであれば池上彰氏のテレビ番組などが感覚として近いかもしれない。
少し内容的に物足りなさを感じることもあるが、かくいう私も学問として経済学を学んだことのない門外漢なのでこういう1冊はありがたい。
父が娘に語る~、というタイトルもなるほどと素直に納得できたものだ。
以下、内容をすこーしだけ。
経済は「余剰」と「文字」によって生まれたという。
人間は農耕を発明した。農耕によって、これまではその日暮らしだった食料が備蓄できるようになった、これが余剰だ。
そして余剰を管理するために文字が発明された。
そして経済が生まれた…。
この池上彰感、共感していただけるだろうか?
(決してバカにしてる意図はない)
同様の非常にわかりやすく取っ掛かりやすい論調で様々な経済・社会の事象を説明していく。
植民地時代なぜ西欧が優れていたのか、封建時代の社会の仕組み、銀行の役割や融資について、産業革命、などなど。
中高時代になんとなく勉強の知識として嫌々頭に詰め込んでいたことも、この歳になってわかりやすい説明と共に頭に入れようとするとそれは実に有意義で興味深い知識なのだと実感する。
本書後半では未来の話にフォーカスされる。
近年のこの手の本では当たり前すぎてもはや言うまでもないかもしれないがテクノロジーがもたらす新しい社会についての考察である。
テクノロジーによる未来社会の考察ではお馴染みであるが、そういった社会を考える上では実学ではなくむしろ哲学や道徳的な観点が多く用いられている。
娘に語る~とあっては尚更だろう。
近く訪れる新しい社会、人間がこれまで自らの仕事としてきたことが機械にとって代わる社会。そこではこれまでの経済の概念が通じな可能性が高い。
未来を担う娘に自分が生きる新しい社会を考えてもらうには、まずこれまでのそして今の経済がどのように形成されたかを知っていてもらわねばならない、そんな筆者の願いが本書に込められてるように思う。
本書は、大人達が子供達に未来を託すためのバトンとも言える1冊かもしれない。
白状しよう。
GWに読んだ小説「そしてバトンは渡された」が好きすぎてどうしてもそれになぞらえたくて強引にまとめてみた。
でも、あながち的外れではないと思う。
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※次回更新は7月5日(金)予定※