【書評】FACTFULNESS(ファクトフルネス)

 

 

f:id:bukuholi:20190323220540p:plain

 

 こんにちは。ごーいわです。



「あなたはどれだけ正しく世界を捉えることが出来ていますか??」

 

いきなりキサマは何様じゃ?! というお怒りはもっともでございます。

でも、どうか最後までお付き合い願います。

私はさておき、とてもいい本を紹介しますので…




超情報社会である現代、情報量とその速度において過去を圧倒的に置き去りにした現代…

にも関わらずほとんどの人が世界について誤った認識を持っているようだ。そのことに警鐘を鳴らし世界を正しく見るための考え方を教えてくれる、そんな1冊を紹介したい。



今回私、ごーいわが紹介するのは

「FACTFULLNESS(ファクトフルネス)」

である。



私の書評は今回で第3弾となるが、3冊目にしてようやく初めて旬な1冊を取り上げることになる。(正確には微妙に旬を過ぎている気もする)

今でもビジネス書ランキングでは上位にいて、どこの本屋でも平積みされていると思われるので是非手にとっていただきたい。



本書は読者に12問の世界の事実に関するクイズを投げかけることから始まる。

問題は全て、3つの選択肢が用意されている3択形式だ。

 

全問を紹介すると長くなるので、問題の方向性を知っていただくために3問ほど抜粋しよう。

 

問1.世界で最も多くの人が住んでいるのはどこでしょう?

 A.低所得国  B.中所得国  C.高所得国

 

問2.世界の人口のうち、極度の貧困にある人の割合は、過去20年間でどう変わったでしょう?

 A.約2倍になった  B.あまり変わっていない  C.半分になった

 

問3.いくらかでも電気が使える人は、世界にどれくらいいるでしょう?

 A.20%         B.50%        C.80%   

 

3問の正解は順にこうなる。

問1=正解B     問2=正解C     問3=正解C

 

なんとなく問題の傾向はおわかりいただけただろうか。

このような世界の貧困状況や、過去と比べた現在の世界の姿に関する問題が12問並べられているわけだ。

 

そしてなんと…!著者が先進国を中心に14カ国、のべ1万人以上を対象に実施した調査ではこれら12問の平均正解数はたったの2問であるらしい。

しかも一般的にエリートと呼ばれる一流企業の役員や大学教授、政治家、ノーベル賞受賞者なども例外ではないというのだ。

 

皆さんはどれだけ正解できただろうか?

(私が何問正解できたかはもちろん内緒である。)



では、なぜ人々は(ごーいわは)世界を誤って捉えてしまうのか??

 

それは、人間の持つ10個の本能に問題があるという………。



ここからが本書の論旨になるのだが、この本能についての解説や例示についてはここでは控え、読了後の私の見解、感想だけを述べることとする。

 

どうか信じてほしい。決して私に読解力がないために解説できないわけでもなく、面倒くさいから解説を端折ったわけでもない。

10個の本能それぞれが1章を形成しており、各章の終わりに必ず振り返りと結論がついているので、短い時間で容易に大事な要点だけを抑えて読むことができる、それも本書の魅力なのであります!

なので、是非本書を読んでいただきたい。




と、いうことで…



ファクトフルネスとは一体なんなのだろうか?

 

私なりにそれを一言で表現するのであれば

「事実に基づく本当の世界の姿を知ろう」

ということになる。

 

世界は良い方向に進んでいる(全ての事象がというわけではないが)。確かなデータがそれを証明している。

貧困層の人口は減り、女性の教育水準は上がり、平均寿命は飛躍的に伸びた。凶悪犯罪が減少した国は多い。全て確かな調査データがある。

しかしメディアは極度の貧困にある人々の痛ましい映像だけを取り上げたり、ショッキングな凶悪犯罪を特集する。

我々はそれらを見ると「本能」的にそれこそがただ一つの真実だと思い込む、必要以上に危険を過大視する、世界は悪くなっていると認識する。

これが本能による誤った世界の見方だ。



ショッキングな事象が存在することもまた目を背けてはならない事実であるが、世界の見方を誤ると当然その解決策も誤ってしまうのだ。それでは世界はよくならない、それが何より怖いことだと思う。

 

本能が捉える世界に真実はない。

事実(データ)を見る、あるいは事実(データ)を比較して見ることが重要なのだ。時には自らの目で現実を見ることも必要かもしれない。そしてそれら全てを深く深く考えるのだ。

そうしなければ、世界の本当の姿は見えない。




私なりに例を挙げてみよう。

ぱっと私の頭の中に浮かんだのはネットやアニメ、ゲームなどのオタクと犯罪を強引に結びつける論調だ。これはおたく差別と呼ばれ、wikipediaにも載っている。(ちなみに著者はwikiが大好きらしい。)

この日本では長いこと議論されているように思うがオタク差別論者からその論拠となる確かなデータ(事実)が明示されているのを見た試しがない。

 

仮にオタク差別論者が根拠もないまま支持されてしまい、ゲームやアニメなどの日本の現代文化に大幅な規制が入るとしよう。

それら文化を趣向する者にとって明らかに世界は悪くなる。そればかりか解決策を誤っているので本来の目的であった犯罪の減少にはなんら効果がないだろう、むしろ理不尽な規制によって新たな犯罪を生み出す可能性すらある。

それが世界の認識を誤るということだ。



感覚(本能)に囚われるな、事実を見ろ、そして考えろ

 

著者は何度も力強く訴える。

 

世界を事実に基づき正しく認識すること。

 

世界を良くする第一歩はそこから始まるのだ。





~最後に~

 

この本は大いに尊敬されるべき本である。もちろん世の中にあるあらゆる書物は尊敬に値する。しかしこの本を読み終えて私が抱いた尊敬の念は他では得がたいものがあった。

 

著者のハンス・ロスリング氏は世界を飛び回った著名な医者だった。

様々な貧困地域を周り原因不明の病気の究明や地域の医療に従事していたという。

そして晩年は教育者として学生の指導や世界の様々な企業や機関への講演に力を注いでいた。

 

データに精通していただけでなく、自分の目で実際に世界を確め、世界の姿を正確に捉えることに長けていた著者は、世界の人々が世界を見誤っていることに危機感を感じていたのだろう。

それでは世界はよくならないのだから。

 

世界を良くしたい、そんな著者の信念はこの本の端々から感じ取ることができる。

 

病床で死の直前まで、本書の製作にその全てを捧げた著者を心から尊敬する。

 

 

 

FACTFULNESS

 

 

 ※次回更新は4/8(月)※